off the top of one's head
今日のイディオムはこれです。
「すぐに思いつく範囲で...」「ぱっと思い浮かぶところでは...」という意味の副詞句です。
person A: Do you remember something about him?
person B: Not off the top of my head.
Aさん:彼について何か覚えていることはありますか?
Bさん:ぱっと思いつくことはないですね。
少し不自然ですが、Bさんにフルセンテンスで答えてもらうと、
person B: No, I don't remember anything about him off the top of my head.
(パッとおもいつくところでは、彼について何も覚えていません)
副詞句ですので、なくても文章として成り立ちます。が、もちろんこの副詞句が与えるニュアンスというものはあるんです。
上の例では、すぐには思いつかなくても、よく考えてみれば思いつくかもしれない、というのが一つのカノーテイションかもしれません。
肯定文で使うことももちろん可能です。
He did so many bad things when he was a kid. Off the top of my head, he suspended from school twice.
(彼は子供のころ悪さばかりしていた。すぐに思いつくだけでも、彼は二度停学処分を受けていた)
肯定文と言いつつ、ネガティブな内容の例文を作ってしまいました。
割と理解しやすいイディオムですよね。頭のてっぺんからぽろっと落っこちてくる情報、というイメージです。
それではここでシットコム・フレンズからの紹介です。
奥さんのモニカがカギをかけて中を見せようとしないクローゼットについて、チャンドラーがジョーイと話をしています。途中で出てくるリチャードはモニカの元恋人です。
Chandler: Monica has a secret closet and she won’t let me see what’s in it.
チャンドラー:モニカの秘密のクローゼットだ。中に何が入ってるのか見せようとしないんだ。
Joey: Why not?
ジョーイ:何でだよ?
Chandler: I don’t know! What could she possibly be hiding in here that I can’t see?!
チャンドラー:知らねぇよ!俺が見ちゃいけないものって、一体何を隠してるんだ?
Joey: I don’t know. Ooh, I bet it’s Richard.
ジョーイ:さぁなぁ。お、分った、リチャードだ。
Chandler: What?
チャンドラー:何?
Joey: Before you say i'm wrong, let me ask you something: when was the last time you saw him?
ジョーイ:否定する前にちょっと聞けよ。リチャードを見たのはいつが最後だ?
Chandler: Why would Monica be keeping Richard in here?
チャンドラー:何でモニカかリチャードをここに入れとかなきゃいけないんだよ?
Joey: Well off the top of my head uhh, maybe she’s having her cake and eating it too. You being the cake and Richard being the too.
ジョーイ:そうだな、ぱっと思いつくところでは、えーと、おそらくモニカはケーキを食べてて、同時にケーキを持ってるんだ。お前が「ケーキ」で、リチャードが「同時に」だ。
Chandler: That was off the top of your head?
ぱっと思いつくのがそれかよ?
会話全体がジョーイのしょうもないボケなんですが、特に最後から2行目のジョーイのセリフには解説が必要ですね。
you can't have your cake and eat it too.
というのはこれ自体が諺というかイディオムです。直訳すると、ケーキを食べたらケーキを持っているこはできない、ケーキは食べたらなくなる、という意味ですが、要は矛盾する2つのことを同時に実現することは不可能だということです。
で、この会話ではジョーイがわざわざこの諺を引っ張ってきて、さらにリチャードが cake でチャンドラーが too だという、更に支離滅裂なボケを重ねます。
で、出鱈目、滅茶苦茶、支離滅裂、荒唐無稽なジョーイのボケに対して、それが off the top of your head なのか、とチャンドラーが突っ込んでいるわけです。
日常会話でも割とよく聞く表現ですので、覚えてみてください。